コラム

2023.12.20

シフト管理と勤怠管理の融合で効果アップ

シフト管理

勤怠管理

シフト管理と勤怠管理の融合で効率アップ

従来は、シフト管理と勤怠管理が別々に導入されるケースが大半で、両者が融合した形で導入されるケースは、それほど多くはありませんでした。しかし、近年、シフト管理と勤怠管理の融合が非常に有効であるということが分かってきましたし、ニーズも増えています。当コラムでは、シフト管理と勤怠管理の融合のメリットについて述べたいと思います。

1.シフト管理と勤怠管理の役割について

◆シフト管理と勤怠管理の守備範囲

労働生産性を向上させるためには、「人と仕事に関するマネージメント」のレベルをアップさせることが必要になりますが、その中でシフト管理が受け持つ範囲と、勤怠管理が受け持つ範囲は明確に分けられます。

  • シフト管理:人件費計画、人時計画、シフト計画、作業計画、作業管理
  • 勤怠管理 :人件費管理、人時管理、勤怠管理

この様に、シフト管理では計画機能がメイン、勤怠管理では実績機能がメインになります。そして、計画と実績をタイムリーに比較することにより、課題の発見と次なる計画へと結び付けることが可能になります。

但し、「作業管理」だけは勤怠管理ではなく、シフト管理の守備範囲という形にしています。作業管理は新しい分野であり、従来の勤怠管理では該当機能は有していない為、比較的新しい仕組みであるシフト管理に含めることが妥当だと考えています。

実際、オーエムネットワーク社の店舗向けシフト管理システム「アールシフト」では、作業計画と連動して作業実績の把握機能も提供しており、作業の予実管理ができるようになっています。

また、守備範囲の広さで見ると、シフト管理の方が勤怠管理より守備範囲は広くなります。やはり、計画機能の方が実績機能よりも複雑であり、確かな精度も求められます。また、使用する手法も統計手法やAI手法も取り入れられて来ており、シフト管理の分野は日々進化していると言えます。

一方、勤怠管理は勤怠実績データの収集がメインであり、機能的にはシフト管理よりも複雑ではありませんし、データ収集方法の種類は増加していますが、機能面では大きな変化はないと言えます。従って、今後、益々シフト管理のウエイトは大きくなることが予想されますし、機能面での拡充も進んでいくものと思われます。

範囲イメージ

◆データ連携から見たシフト管理と勤怠管理の関係

シフト管理と勤怠管理の融合で最も重要なのは、両者間でのデータ連携になります。シフト管理から勤怠管理に連携するデータ、逆に勤怠管理からシフト管理に連携するデータの2種類があります。

まず、シフト管理から勤怠管理に連携するデータとしては、以下のものがあります。

  • 次月の勤務シフトデータ(有休や特休予定も含む)
  • 当月の変更シフトデータ
勤務予定イメージ

次月の勤務シフトデータは、シフトが確定した時点で勤怠管理側にデータが連携されます。また、当月の変更シフトデータは、確定したシフトに対して変更があった都度、勤怠管理側にデータ連携されます。

また、勤怠管理からシフト管理に連携するデータとしては、以下のものがあります。

  • 日々の勤務実績データ
勤務実績イメージ

日々の勤務実績データは、勤怠側で収集された実績データを毎日シフト管理側にデータ連携されます。

以下の図は、「Plan→Do→See」「Action」を加味したマネージメントサイクルに則った、シフト管理と勤怠管理間のデータ連携を表したものです。この様に、シフト管理と勤怠管理の各データをマネージメントサイクルに合わせて連携させることで、マネージメントの質を向上させることができます。

システム構成イメージ

2.シフト管理と勤怠管理を融合することのメリット

◆予実管理がよりタイムリーに

タイムリーイメージ

シフト管理と勤怠管理の融合で最も効果を発揮するのが、予実管理になります。従来から予実管理は行われてきましたが、タイムリー性において劣るところがありました。

タイムリー性をアップさせることで、以下の様なメリットを発揮できます。

  • 日々の打刻データを常にシフト計画データと照合することで、打刻エラーの早期発見とデータ修正の迅速化が実現します。
  • 月の途中でも、予定データと実績データを合わせることにより、月末時点での予想人件費や予測人時などを事前に把握できる様になります。
  • シフト計画で予め申請された有休や特別休などが、確実に取得されているか否かをリアルタイムに把握できる様になります。
  • 労務基準を守る形で予め作成されたシフト計画に対し、月の途中で労務基準を逸脱するような勤務実態になっていないかどうかが分かる様になります。
  • シフト計画と勤務実績の乖離が大きい場合、シフト計画の作成方法や勤務指示の徹底度合など根本的な原因がどこにあるのかを探り、次月以降の改善に結びつけていくことが可能となります。

いずれにせよ、従来は月末に締めてみないと把握できなかったものが、月の途中でもタイムリーに把握できる様になります。これは、マネージメントレベルをアップさせる上で、極めて重要なポイントになります。

アールシフトの予実管理画面

アールシフトの予実管理画面

◆情報の一元管理で効率的な運用が可能

一元化イメージ

シフト管理と勤怠管理を同一メーカーのシステムで融合する場合には、情報の一元管理でも効果を発揮させることが可能です。その中でも一番大きな効果は、マスターの一元管理です。以下のマスター類は、別々に登録やメンテナンスをする必要はなく、シフト管理と勤怠管理で1つのマスターを共有することが可能となります。

  • 組織情報:会社情報、エリア情報、店舗情報、部門情報、従業員情報、他
  • 設定情報:就業規約、労働条件、時給情報、手当情報、他

また、シフト予定データや勤務実績データなども一元的に管理可能となる為、それぞれのデータを利用したい場合でも、自由に取り出しと編集が可能となります。これにより、見たい時に、見たいデータをタイムリーに活用することが可能となりますので、マネージメントレベルをアップさせる為にも極めて重要なポイントになります。

◆導入のし易さとコストの低減

シフト管理と勤怠管理のシステムを別々のメーカーのものを導入するのではなく、同一メーカーの統合化されたシステムを導入することで、以下の様な効果も期待できます。

  • インフラ面
    シフト管理と勤怠管理で同じインフラ環境を利用できる為、インフラ構築の労力とコストの低減が可能となります。また最近では、クラウド環境によるシステム稼働が中心になってきていますので、同一のクラウド環境で稼働できることはコスト面だけではなく、運用管理面でも大きな効果を発揮することができます。
  • 教育面
    シフト管理と勤怠管理が統合化されたシステムの場合、従業員が両方のシステムの操作を習得するまでの期間と労力を削減することが可能です。1つのシステムを習得する手間と2つのシステムを習得する手間では大きな違いがありますし、操作上の間違いが発生する確率も低減させることができます。
  • 安全面
    近年は、特にセキュリティ面での負担が大きな課題になっています。特に、個人情報を多く扱うシフト管理や勤怠管理で、情報漏洩が起こってしまうと大きな問題になります。そうならない為にも、同一インフラ上で同一コンセプトのシステムを利用することで、セキュリティ面の安全性は大幅に向上するものと言えます。
  • コスト面
    インフラ面、教育面、安全面においてメリットがあると言うことは、当然コスト面においてもメリットがあります。効率的なシステム導入、効率的な操作教育、効率的な安全対策は、コストの低減に直結するものと言えます。

3.これからのシフト管理システムと勤怠管理システムとは

未来イメージ

シフト管理や勤怠管理を効果的に推進していく上では、システムの有効活用が必要不可欠であることは言うまでもありませんが、従来の様な勤怠管理システムの一部としてのシフト管理システムという認識では不十分です。

これからは、シフト管理システムの一部として勤怠管理システムを位置付けるという認識の方が時代にマッチしていると思います。

シフト管理は未来を予測する機能がメインですから、その後に続く実施段階や管理段階を左右するものになります。この予測機能を向上させることに、これからのシフト管理システムは注力されていく筈ですから、シフト管理機能は益々重要性がアップしていくものと言えます。

一方、勤怠管理システムは、スマートフォンの活用や生体認証といった分野が進んでくると思いますが、勤怠管理そのものの機能はそれ程変化することは無いと思われます。それよりも、シフト管理システムとの連携により、操作性や機動性をアップさせる方向に動いていくものと想定されます。

いずれにせよ、①シフト管理システムの機能アップと、②勤怠管理システムとのデータ連携という2つのテーマが益々重要になってくると言えます。

4.まとめ

今回は、シフト管理と勤怠管理の関係性、及び両者を統合することで生み出せるメリットについて紹介しました。現状は、勤怠管理の一部にシフト管理があると理解されている方も多いと思いますが、実際はシフト管理と勤怠管理は並列の関係にあります。

オーエムネットワーク社の店舗向けシフト管理システム「アールシフト」では、勤怠管理システムとの統合を前提に機能提供されており、店舗におけるマネージメントレベルの向上に貢献しています。「アールシフト」は、これからも業務改善ツールとしての役割を果たして参りますので、是非ご期待ください。

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