コラム
2023.12.20
シフト管理を効率化する方法とは?本部と店舗それぞれの立場でやるべきことを解説
シフト管理

現場の効率と人件費の最適化を両立させるには、シフト管理の質がカギを握ります。
特に多店舗展開を行う企業では、本部と店舗それぞれの立場から役割を明確にし、共通のルールや運用基準を整備することが欠かせません。
本部が全体の戦略や基準を策定し、店舗が現場の実情に合わせて柔軟に対応することで、属人化やバラつきを防ぎながら、組織全体で効率的なシフト運用が可能になります。
この記事では、本部と店舗のそれぞれが果たすべき役割や、シフト作成を効率化する具体的なルールについて詳しく解説します。
目次
1.シフト管理業務における本部の役割とは?

シフト管理業務では、本部が各店舗全体を管理する立場を担います。
具体的な役割や仕事内容について、詳しく見ていきましょう。
(1)シフト管理で把握すべき計数の明確化
本部側の管理者がシフト管理を通して把握すべき計数として、①売上目標、②人件費目標、③人時(マンアワー)目標、④人時売上高目標の4つとなります。
それぞれの計数には、以下の特徴があります。
①売上目標
売上目標は、シフト管理上においても最も基本となる計数です。
売上目標が決まることで、次に続く「人件費目標」、「人時目標」、「人時売上高目標」が決まります。
売上目標は実現可能な金額を組み立て、計画に変動が生じれば柔軟に見直すことが重要になります。
②人件費目標
人件費目標は、利益を計画する上で最も重要な計数です。
労働集約型である小売業やサービス業では、経費の中に占める人件費の割合は非常に大きいもの。
人件費を目標内に抑えることは、店舗運営上で最も重要です。
人件費削減について詳しく解説した記事もございますので合わせてお読みください。
③人時(マンアワー)目標について
人時目標は、店舗業務を決められたルール通りに実施するため、どれだけの人時を投入するのかを決めるための要素です。
小売業、サービス業では、この人時目標が定められていない企業が多く見受けられます。
人時目標がないと、客観的で合理的な管理を行うことは困難です。
もし人時目標がない場合、早急に設定することをおすすめします。
人時目標やマンアワーについて解説した記事もぜひご覧ください。
④人時売上高目標
人時売上高目標は、1時間当たりの人時投入で、どれだけの売上を稼ぐかという計数です。
「人時売上高」は、必ずしも高ければ高いほど良いという訳ではありません。
適正な人時売上高の設定が重要です。
(2)店舗業務の見える化を推進
本部側が店舗業務を上手くコントロールするには、「店舗業務の見える化」が必須です。
今まで小売業、サービス業の多くは、店舗業務のやり方などは店舗任せのケースがほとんどでした。
これでは、店舗業務がどのように実施されているかを具体的に把握できません。
一方、製造業の現場では、早くから工程管理や生産管理が行われてきました。
作業のマニュアル化が進んでいることも、ムリ・ムダ・ムラの削減に大きく貢献しています。
(例)月曜日の標準作業モデル
店舗業務の見える化では、製造業における工程管理や生産管理と同じような管理が求められます。
また、シフト管理を効率的かつ効果的に進めるためには、「標準作業モデルの作成」も重要です。
この標準作業モデルを基本として、各店舗の特性を加味した店ごとの作業モデルを作成しましょう。
モデルシフトについての基本をまとめた記事もあわせてお読みください。
(3)人員構成の見える化を推進
「店舗業務の見える化」と同じく重要なのが「人員構成の見える化」です。
店舗の作業は「店舗業務の見える化」で明確になり、人は「人員構成の見える化」で明確になります。
「人員構成の見える化」とは、店舗業務に対応した人員構成をモデル化する「標準人員モデル」の作成を意味します。
「標準人員モデル」で基本となるのが曜日別の人員構成モデルです。
時間帯別に必要人員数などを決めるやり方や、一日の中で必要となるシフトパターンを決めるやり方などがあります。
どのようにモデル化するかは、それぞれの企業の実情で決まります。
(例)店舗を運営する上で必要とする体制を、時間帯ごとの必要人数で決める方法
(例)店舗を運営する上で必要とする体制を、勤務シフトの種類と数で決める方法
(4)シフト作成のルール化を推進
小売業やサービス業では、品揃えや顧客サービスなどは全店統一を基本に仕組み作りをしています。
一方で、シフト作成・シフト管理に関しては統一を基本としてこなかったのが実情です。
エクセルによるシフト管理では、各店舗のシフト作成者のやり方が色濃く反映されます。
その分、統一したシフト作成が大変難しい傾向にありました。
今後、労働人口減少が深刻化する中で、シフト管理でも統一の取れた仕組みが非常に重要です。
やり方を統一する上では「シフト作成のルール化」がカギを握ります。
2.効率的なシフト作成に必要なルールとは?6つ紹介
店舗任せのシフト作成は、現場ごとに運用ルールがばらつき、トラブルを招くリスクがあります。
本部としては、全体を見渡した上で、共通のルールを定めることが重要です。
特に複数店舗を展開する企業では、シフトの作成や変更、承認のルールをあらかじめ明文化しておくことで、管理負担の軽減や公平性の確保がしやすくなります。
本部として、以下の観点を押さえながら「シフト作成のルール化」を進めていきましょう。
- 徹底したペーパーレス化
- 各種申請や承認のワークフロー
- シフト作成締日以降の禁止事項
- シフト変更希望に対する可否基準
- 雇用契約書で曖昧な箇所があれば明確にする
- 電話でのやり取りを極力少なくする
以下、それぞれについて詳しくまとめました。
【関連記事】<企業事例あり>シフト作成はここが大変!原因と解決方法
(1) 徹底したペーパーレス化
シフト作成の効率を高めるためには、ペーパーレス化が欠かせません。
紙やExcelでのやり取りは、記入ミスや情報の重複、共有ミスの原因になります。
各店舗から紙で提出された希望シフトを本部が手入力で集計する運用では、手間もかかりミスも起こりやすくなります。
デジタルで一元管理する仕組みを整えることで、作業時間の削減と情報の正確性を両立できます。
(2) 各種申請や承認のワークフロー
本部としては、休暇申請やシフト変更などの業務が属人的にならないよう、ワークフローの整備が重要です。
承認手続きが曖昧なまま進められると、現場で混乱や不公平感が生じかねません。
あるスタッフの希望休が通った一方で、別のスタッフの申請が却下されたとなれば、不満が出ます。
ワークフローを統一すれば、誰が・いつ・どう承認したのかが明確になり、トラブルを防止できます。
(3) シフト作成締日以降の禁止事項
シフトの確定後に発生する混乱を抑えるため、締日以降の変更ルールを明確に定めておくべきです。
確定後も修正依頼が相次ぐと、管理者の負担が増えるだけでなく、業務の見通しも立てづらくなります。
締日を過ぎてからの希望変更が暗黙のうちに通る状況は、他のスタッフにも影響が波及します。
ルールを設けて「締日以降の変更は原則不可」と明示すれば、現場にメリハリが生まれます。
(4) シフト変更希望に対する可否基準
本部が定めるべき重要なルールのひとつに、シフト変更希望に対する判断基準があります。
現場任せにしていると、店長のさじ加減で対応がばらつき、不公平が発生しやすくなります。
「体調不良による急な変更はOKだが、自己都合のレジャーはNG」といったラインを明文化することで、対応が統一されます。
この基準があるだけで、現場の判断に迷いがなくなり、スタッフへの説明もスムーズになるでしょう。
【関連記事】シフト変更をスムーズに行うコツとは?従業員との関係構築のポイントも紹介!
(5) 雇用契約書で曖昧な箇所があれば明確にする
雇用契約書に不明確な点があると、シフト作成時にトラブルの原因となる恐れがあります。
「週に何日勤務するのか」「土日に出勤する必要があるのか」など、前提条件が曖昧なままだと、希望と現実のギャップが生じやすくなります。
「シフトは相談の上決定」とだけ記載されている場合、スタッフと店舗側の認識がずれることも。
雇用契約書を定期的に見直し、シフト作成に直結する条項を具体的に明記することが求められます。
(6) 電話でのやり取りを極力少なくする
シフト作成に関わる連絡は、極力システムやチャットツールなど、記録に残る方法を推奨すべきです。
電話のやり取りは、後から「言った/言わない」のトラブルを引き起こす原因となります。
「昨日、出勤日を変更したって店長に言いましたよね?」という曖昧な伝達が現場で混乱を招くことも珍しくありません。
こうした問題を防ぐためには、申請・変更・承認のプロセスは記録が残るツールに一本化しておくのが効果的です。
3.シフト管理における店舗の役割とは?

本部がシフトのルールや仕組みを整備する一方で、店舗側には現場ならではの運用や判断が求められます。
実際にスタッフと日々関わる店舗だからこそできる役割も多く、シフト管理の成否は現場の対応力にかかっていると言っても過言ではありません。
特に、シフト作成・スタッフ教育・採用・店舗作業の改善といった業務は、店舗が主体的に担う必要があります。
以下、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
【関連記事】シフト管理が上手な店長になるには?スタッフ目線のシフトを作成するコツ5選
(1)標準作業モデルのアレンジ
本部側で作成された「標準作業モデル」は、必ずしも、そのまま適用できるとは限りません。
場合によっては、標準作業モデルの内容をアレンジする必要があります。
標準作業モデルをアレンジする上では以下を考慮します。
①開店から閉店までの営業時間帯
②開店から閉店までの営業時間帯
③店舗レイアウト
④品揃えの種類や特殊性
⑤確保できる人員体制、など
自店の状況に合わせて「標準作業モデル」をアレンジしましょう。
【関連記事】サービス業のシフト作成をラクに!効率化のポイントを5つ紹介
(2)標準人員モデルのアレンジ
標準人員モデルもそのまま店舗に適用できるとは限りません。
店舗独自の人員モデルを追加したり、標準人員モデルの内容をアレンジしたりする必要があります。
以下の点が店舗によって異なるからです。
①開店から閉店までの営業時間帯
②来店客のピーク時間帯
③店舗に与えられた売上予算
④正社員とパート、アルバイトの比率
⑤確保できる人員体制、など
自店の状況に合わせて「標準人員モデル」をアレンジする必要があります。
その際も、変更できる権限や変更箇所の本部への報告などのルールを用意しましょう。
(3) シフト作成・管理
店舗における最大の役割の一つが、シフト作成です。
現場の状況や業務量を把握しているのは店舗スタッフ自身であり、その情報をもとに柔軟な人員配置を行うことができます。
繁忙時間帯を中心に経験豊富なスタッフを配置し、アイドルタイムは新人と組み合わせるなど、業務負担と育成の両立が可能です。
こうした現場主導のシフト作成は、業務のスムーズな進行と人材活用の最適化を実現します。
(4) スタッフ教育
スタッフ教育は、店舗のサービス品質や業務の効率に大きな影響を与えます。
小売業やサービス業では、スタッフが顧客との接点となるため、教育の質が顧客満足に直結します。
対応をしっかり教えられたスタッフは、自信を持って接客でき、顧客からの信頼も得られるでしょう。
教育を通じてスタッフが成長すれば、現場の安定感が増し、離職率の低下にもつながります。
(6) スタッフ採用
スタッフ採用は、店舗運営の土台を支える重要なプロセスです。
店舗の雰囲気や方針に合う人材を採用できれば、日々の業務連携がスムーズになり、無駄なトラブルも避けられます。
たとえば、チームワークを重視する店舗で協調性のある人材を採用すれば、指示伝達がスピーディーになり、現場の負担が減る可能性もあります。
採用基準や面接手法を店舗ごとに工夫することが、質の高いチームづくりに貢献するでしょう。
(6) 店舗作業の改善
店舗作業の改善は、業務効率とスタッフ満足の両立に欠かせません。
現場でしか見えない非効率な業務フローや、よく発生するミスを見直すことは、改善の第一歩です。
発注作業を一部自動化したり、清掃手順を見直すだけでも、作業時間の短縮につながります。
こうした積み重ねが、スタッフの負担軽減と生産性向上を同時に実現する鍵となります。
本部と店舗のシフト業務効率化を叶える「R-Shift」

(1)小売業・サービス業の導入店舗数2万店超
アールシフトは、小売業やサービス業のシフト管理に特化したシステムです。
おかげさまで2020年〜2025年と6年連続で「登録ID数1,000以上の小売業」における導入数No.1(※東京商工リサーチ調べ)となりました。
全国展開しているスーパー、生活雑貨店、レンタルビデオ店、衣料品店、ホームセンター、映画館、空港、コールセンターなど幅広い業種の企業様に選ばれています。
導入企業の事例インタビューはこちら
(2)柔軟にカスタマイズ可能
選ばれる理由の一つが、カスタマイズの柔軟性です。
シフト管理においては企業ごとに設けている独自ルールや細かな要望があるかと思います。
アールシフトなら800を超える標準機能から独自にオーダーメイドが可能です。
「店内レジと屋外レジの違いを考慮して割り当てたい(ホームセンター向け)」
「薬剤師と登録販売者を確実にシフトに入れたい(ドラッグストア向け)」
といった業種特有のシフト管理方法も、標準機能で既に搭載されています。
標準機能だけでは対応しきれない個別カスタマイズにももちろん対応。
お客さまの企業特性を理解した上で、設定のチューニングを行ないます。
(3)シフト管理+人時生産性向上を同時に実現
アールシフトではレイバースケジューリング理論(LSP)や統計分析手法、AI手法などを全面採用。
仕事と人をMH(人時)で把握し、ムリ・ムダ・ムラの最も少ない効率的なシフトを実現しました。
誰が使用してもスピーディに高精度なシフト表が作成できるよう、当社独自の最適化手法を備えています。
(4)直感的に操作できる現場志向のシステム
高精度なシステムでありながら、直感的な操作でシフトが自動作成できるよう、インターフェースにも徹底的にこだわりました。
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