
シフト管理は何のためにあるか?それは明らかに最大の経営資源である「店舗で働く人」を活かす為にあると言えます。その結果として店舗の生産性が向上し、店舗オペレーションが改善することになります。では、店舗で働く人を活かすシフト管理とはどうあるべきでしょうか?当コラムではその本質に迫りたいと思います。
シフト管理の実務ノウハウとして、今回は「本部と店舗の役割」というテーマで述べたいと思います。小売業やサービス業では、その多くが複数の店舗を展開しており、統一したオペレーションのもとで店舗運営がなされる様、本部としての役割と、店舗としての役割がさまざまな業務で定義されています。
シフト管理も例外ではなく、本部としての役割とやるべき業務、店舗としての役割とやるべき業務、および本部と店舗間での連携ルールなどがあります。シフト管理業務におけるこれらの実務とノウハウを改めて理解することで、店舗の生産性向上の一助にして頂きたいと考えています。
-目次-
本部側の管理者がシフト管理を通して把握すべき計数としては、①売上目標、②人件費目標、③人時(マンアワー)目標、④人時売上高目標の4つとなります。
そして、それぞれの計数には、以下の様な特徴があります。
売上目標は、シフト管理上においても最も基本となる計数になります。売上目標が決まることで、次に続く「人件費目標」、「人時目標」、「人時売上高目標」が決まってきます。従って、売上目標は実現可能な金額を組み立てると言う点と、計画に変動が生じれば柔軟に見直すという点が重要になります。
人件費目標は、利益を計画する上で最も重要な計数になります。特に、労働集約型である小売業やサービス業では、経費の中に占める人件費の割合は非常に大きなものがあります。従って、人件費目標内に人件費を抑えるということは、店舗運営上で最も重要なものの一つになります。
人時目標は、店舗業務を決められたルール通りに実施する為に、どれだけの人時を投入するのかを決めるものです。多くの小売業、サービス業では、この人時目標が定められていないところが多く見受けられます。しかし、この人時目標がないと、客観的で合理的な管理を行うことは難しいと言えます。
人時売上高目標は、1時間当たりの人時投入で、どれだけの売上を稼ぐかという計数になります。この人時売上高は、必ずしも高ければ高いほど良いという訳ではなく、適正な人時売上高の設定が重要になります。
以上の4つの計数の関係を図に表すと以下の様になります。目標数字の作成段階では、この4つの計数のバランスが取れていることが重要になります。
(図1)店舗の管理計数のバランス
なお、それぞれの計数の作成方法や管理方法については、当お役立ち情報の「シフト管理の実務!計数管理の実務」(順次掲載予定)をご覧ください。
本部側の管理者がシフト管理を通して店舗業務を上手くコントロールする為には、「店舗業務の見える化」を推進することが必須となります。今までの小売業、サービス業の多くは、店舗業務のやり方などは店舗任せのところも多く、本部からは店舗業務がどの様に実施されているかを具体的に把握できない状況でした。この様な状況では、シフト管理を推進しようとしても効果は限定的にならざるを得ません。
製造業の現場では、早くから工程管理や生産管理が行われており、作業のマニュアル化も整備されてきました。このことにより、製造現場の見える化が実現でき、ムリ・ムラ・ムダの削減に大きな威力を発揮できたと言えます。
これからの小売業やサービス業の店舗でも、製造業における工程管理や生産管理と同じような管理方法が求められてきます。但し、小売業やサービス業と製造業では異なる部分も多くありますから、小売業やサービス業という特性にマッチした管理手法を採用することも重要です。
また、シフト管理を効率的かつ効果的に進める為には、「標準作業モデルの作成」が最も重要なポイントになります。この標準作業モデルを基本として、各店舗の特性を加味した個店別の作業モデルを作成することになります。
(例)月曜日の標準作業モデル
なお、それぞれの計数の作成方法や管理方法については、当お役立ち情報の「シフト管理の実務!計数管理の実務」(順次掲載予定)をご覧ください。
シフト管理を推進していく上で、「店舗業務の見える化」と同じ様に重要なものが「人員構成の見える化」です。シフト管理の要諦は、「作業と人の最適マッチング」ですが、作業は「店舗業務の見える化」で明確になり、人は「人員構成の見える化」で明確になります。
「人員構成の見える化」とは、店舗業務の見える化で明確になった「標準作業モデル」に対応した、あるべき人員の構成をモデル化する「標準人員モデル」の作成を意味します。
「標準人員モデル」で基本となるのが曜日別の人員構成モデルになりますが、時間帯別に必要人員数などを決めるやり方や、一日の中で必要となるシフトパターンをモデル化するものなどがあります。どの様な形でモデル化するかは、それぞれの企業の実情で決まってきます。
(例)店舗を運営する上で必要とする体制を、時間帯ごとの必要人数で決める方法
(例)店舗を運営する上で必要とする体制を、勤務シフトの種類と数で決める方法
なお、それぞれの計数の作成方法や管理方法については、当お役立ち情報の「シフト管理の実務!計数管理の実務」(順次掲載予定)をご覧ください。
チェーンオペレーションを主体とする小売業やサービス業では、品揃えや顧客サービスなどは全店統一を基本に仕組み作りをしてきましたが、シフト作成などは必ずしも統一の取れた仕組み作りは行われてこなかったのが実情だと言えます。
それは、従来から行われてきたエクセルによるシフト管理では、各店舗のシフト作成者のやり方が色濃く反映される為、統一したシフト作成ということが大変難しかったという側面がありました。
しかし、これからのチェーンオペレーションでは、シフト管理面でも統一の取れた仕組み作りが非常に重要になってきます。店舗の生産性を向上させるためには、シフト管理が必要不可欠のものになってきているからです。その中でも、「シフト作成のルール化」は、本部側がしっかりとした取り決めを行い、店舗側にルール通りに実施してもらうことが重要だと言えます。
その為に、本部側としては以下の様な点に留意して「シフト作成のルール化」を進めるべきだと考えています。
①徹底したペーパーレス化を図る
②各種申請や承認のワークフローを明確にする
③シフト作成の締日や締日以降の禁止事項などを明確にする
④シフト変更希望に対する可否基準を明確にする
⑤「雇用契約書で曖昧な箇所があれば明確にする
⑥守るべき労基ルールを明確にする
⑦メールを上手く活用し電話でのやり取りを極力少なくする
以上の点を考慮して「シフト作成のルール化」を進めることで、統一の取れたチェーンオペレーションがシ可能になってきます。
本部側で作成された「標準作業モデル」は、必ずしも、そのまま何も変更せずに店舗に適用できると言う訳ではありません。場合によっては、店舗独自の作業マスターを追加したり、標準作業モデルの内容をアレンジしたりする必要があります。
その理由としては、以下の様な点が店舗側では異なる場合があるからです。
①開店から閉店までの営業時間帯
②開店から閉店までの営業時間帯
③店舗レイアウト
④品揃えの種類や特殊性
⑤確保できる人員体制、などなど
従って、標準モデルと実店舗とで上記の様な違いがある場合、自店の状況に合わせて「標準作業モデル」をアレンジする必要があります。
そして、アレンジする際の注意点としては、
1)店舗側にどこまで変更の権限を与えるかを明確にする
2)店舗側で変更した箇所は本部側でも把握できる様にする
3)標準作業モデルが変更になった場合の対応方法を明確にする
4)店舗側でアレンジが難しい場合の対応方法を明確にする、などなど
以上の様な注意点を守ることにより、店舗独自の作業マスターを正しく運用することが可能となります。作業マスターの変更頻度は結構ありますので、ルール通りの作業マスター保守は是非とも実践して頂きたいポイントとなります。
標準作業モデルと同じように、標準人員モデルもそのまま何も変更せずに店舗に適用できると言う訳ではありません。場合によっては、店舗独自の人員モデルを追加したり、標準人員モデルの内容をアレンジしたりする必要があります。
その理由としては、以下の様な点が店舗側では異なる場合があるからです。
①開店から閉店までの営業時間帯
②来店客のピーク時間帯
③店舗に与えられた売上予算
④正社員とパート、アルバイトの比率
⑤確保できる人員体制、などなど
従って、標準作業モデルと同様、標準モデルと実店舗とで上記の様な違いがある場合、自店の状況に合わせて「標準人員モデル」をアレンジする必要があります。なお、アレンジする際の注意点としては、「標準作業モデル」で述べた点と同じ考慮が必要となります。
以上の様な注意点を守ることにより、店舗独自の人員体制を正しく運用することが可能となります。人員体制の変更頻度も結構ありますので、ルール通りの人員体制モデルの保守は、是非とも実践して頂きたいポイントとなります。
本部側で標準作業モデルや標準人員モデル、シフト作成基準を作成したとしても、実際にシフト作成やシフト管理を行うのは店舗側となります。
店舗側では、シフト作成やシフト管理実務を通して、①スタッフ教育、②スタッフ採用、③店舗作業改善、なども並行して行う必要があります。
シフト作成そのものは、近年のシフト自動化ソフトなどの普及から、効率化が図られる様になりつつありますが、やはり重要な店舗マネージメントとしては、スタッフ教育やスタッフ採用、店舗業務改善などとなります。
しかし、これらの店舗マネージメントも、シフト作成やシフト管理と密接に関連していますので、両者が連携した形で上手く改善を図っていくことが求められます。
なお、それぞれの計数の作成方法や管理方法については、当お役立ち情報の「シフト管理の実務!計数管理の実務」(順次掲載予定)をご覧ください。
当コラムでは、「シフト管理の実務!本部と店舗の役割」というテーマで書いています。チェーンストアーでは、本部の役割と店舗の役割を明確化し、効率的な店舗運営を行うことが求められます。その中でも、統一したシフト管理の推進は、労働生産性の向上に資する重要なポイントになると考えています。
オーエムネットワーク社の店舗向けシフト管理システム「アールシフト」は、店舗側のシフト作成業務を大幅に効率化できると同時に、本部側のシフト・マネージメントの質も大幅に向上させることができます。
オーエムネットワーク社では、シフト管理・作成機能を実際に体験できるサービスを行なっています。詳しくは当ホームページの体験利用のご紹介の内容をご覧くださいませ。
シフト管理は何のためにあるか?それは明らかに最大の経営資源である「店舗で働く人」を活かす為にあると言えます。その結果として店舗の生産性が向上し、店舗オペレーションが改善することになります。では、店舗で働く人を活かすシフト管理とはどうあるべきでしょうか?当コラムではその本質に迫りたいと思います。
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