店舗の業務改善において重要な指標「マンアワー（MH）」をご存知ですか？
小売業・サービス業では、マンアワー管理によって「店舗運営の見える化」「ムリ・ムダ・ムラの把握」などの生産性向上が可能になります。
このコラムでは、マンアワーの基本や計算式、なぜマンアワーが重要なのかをまとめました。
シフト管理システムでマンアワーを活用するメリットについても解説しています。
ぜひ参考にしてください。

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1.マンアワーとは

店舗運営の効率を考えるうえで欠かせない指標が「マンアワー（MH）」です。
小売業・サービス業では、どの業務にどれだけの労働時間が必要なのかを把握できていなければ、適正なシフトを組むことが難しくなります。
ここでは、マンアワーの基本と計算方法、似た用語との違いについて整理しました。

(1)マンアワーの基本

マンアワー（Ｍan Ｈour）とは、”仕事を1人で全て行ったと仮定した場合の作業時間を表す単位（MH）”です。「人時（にんじ）」と言ったりもします。
マンアワー管理では、すべての作業、あらゆる労働を「MH」という統一した単位で表すことができます。
シフト作成では「この業務に何人必要で、どのくらい時間がかかるのか」見積もる必要があります。
そのためにも、マンアワーを把握しておかなければいけません。
シフトを作成・管理する店長さんや、店舗を管理する本部担当者の方は知っておくべき指標です。

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(2)マンアワーの求め方（計算式）

マンアワーは「作業人数×時間」で出すことができます。
例えば、品出し作業を1人で全て行なって10時間かかるとすると、品出し作業のマンアワーは「10MH」となります。
この品出し作業を2人で行ったとすると1人当たり5時間の作業量になります。
マンアワーは、業種や企業規模に関わらず、すべての仕事を同じ基準で図ることができる極めて有効なものなのです。

【補足】マンパワーとの違い

マンアワーと似ている言葉として「マンパワー」が挙げられます。
マンパワーは、「退職が相次ぎ、現場のマンパワーが不足している」「新事業のためにマンパワーを確保したい」など、労働力・人的資源としての意味合いを持って使われる言葉です。
混同しないよう注意してください。

2.マンアワー管理で必要な3つの指標

マンアワーを使って店舗の管理を行う場合、全店統一で利用できる管理指標が必要です。
マンアワー管理では必要MH、投入MH、過不足MHの3つの指標を使って管理をおこないます。
3つの指標について以下にまとめました。

(1)必要MH

店舗を運営する上で必要となる人員の合計時間を表したもの。
例えば、平日の必要MHは200MH、土日の必要MHは300MHなどと表すことができます。
必要MHを算出方法は何通りかありますが、以下の2つの方法が主流です。

1）個々の作業のMHをすべて積み上げて1日当たりの必要MHとする方法
2）時間帯毎に必要な人数を経験などから算出して1日当たりの必要MHとする方法

(2)投入MH

「実際に投入できた人員の合計時間」を表したものが「投入MH」です。
例えば、平日の投入MHは230MH、土日の投入MHは280MHなどと表します。
投入MHの算出方法は実際に投入した人員の合計時間となり、極めて単純です。
しかし、シフト作成段階の投入MHはあくまでも計画値。
正確な投入MHを知るためには勤怠管理システムとの連動が必要になります。

(3)過不足MH

最後に過不足MHですが、これは投入MHから必要MHを減算した数字です。
先程の例では、平日は30MHの過剰、土日は20MHの不足と言うことになります。
過不足MHによって、曜日別や時間帯別のムリ・ムラ・ムダが把握できます。

3.マンアワーはなぜ生産性向上に強いのか

マンアワー管理は労働力や店舗運営の課題を明確にするため生産性向上に直結します。
必要MHと投入MHを差し引きした「過不足MH」がわかれば、店舗のムリ・ムダ・ムラが明らかに。
特に多店舗展開している企業の場合、多くのメリットを享受できるでしょう。
以下、具体的なメリットについて見ていきましょう。

(1)店舗同士の比較ができる

実際の管理表は、月別、日別に分けて管理されるのが一般的です。
月別は月ごとのマンアワーの推移を年間で表します。
同様に、日別は日ごとのマンアワーの推移を月間で表します。
これを店舗別に並べて見ることで、全店平均と比較した各店舗の位置づけが明確に。
管理表は数字だけでなくグラフ表示なども利用して視覚的に見られるようにすると効果的です。

(2)店舗ごとの日別・時間別の過不足がわかる

（1)で全店平均や店舗同士の比較をすると「要員的に余裕のある店舗」「スタッフが不足している店舗」がわかります。
さらに店舗ごとに目を向ければ、
「A店では12時〜14時の人員が過剰」
「B店では土日に人員が足りていない」
など、各店舗の問題点が明確になります。

(3)ムリ・ムダ・ムラを把握できる

(1)(2)で明らかになった店舗ごとの課題こそ、店舗運営におけるムリ・ムダ・ムラ。
人員過剰の場合は無駄を削減、人員不足の曜日・時間帯は仕事を分散させるなどの対策が有効です。
店舗の効率的な運営・生産性向上に繋げることができます。
マンアワーによる店舗の管理は決して難しくはありません。
導入しやすい指標ですので、是非チャレンジしてみてください。

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4.マンアワーを生産性向上に役立てる4つのコツ

シフト制の職場では「マンアワー（人時）」を管理することが生産性向上に直接影響します。
マンアワー管理は一見難しそうな印象を受けるかもしれません。
しかし、いずれもシフト管理システムを活用することで実現します。
マンアワーを役立てる具体的なコツを以下に挙げました。

• 現場の需要にあわせたシフト作成
• 過去のデータを元に計画を立てる
• 複数業務を担当できるスタッフを増やす
• 業務の進捗をリアルタイムで把握する

1つずつ見ていきましょう。

(1)現場の需要にあわせたシフト作成

需要が高い時間帯と低い時間帯を把握し、それに基づいてシフトを組みましょう。
従業員の労働時間を最適化し、ピーク時に必要人員を確保する重要な手段です。
スタッフの無駄な労働時間を削減し、生産性向上に繋がります。
顧客の流入が多い時間帯には多くのスタッフを配置し、閑散とする時間帯は少人数で対応することで、人件費のムダを省くことができます。

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(2)過去のデータを元に計画を立てる

マンアワーを踏まえたシフト作成に欠かせないのが過去のデータです。
前年同時期の売上データや来客数データを元に、労働力の需要を予測します。
特定の曜日や時間帯に業務が集中する場合、その時間に合わせて人員を増やします。
顧客満足度を高めつつ適切な人時管理を実現できるでしょう。

(3)複数業務を担当できるスタッフを増やす

複数の業務をこなせる従業員の育成も重要です。
1人のスタッフが担当できる業務を増やせば、柔軟な人員配置が可能になります。
急な欠員や予期せぬ業務の増加にも対応しやすく、業務効率が向上するでしょう。

(4)業務の進捗をリアルタイムで把握する

リアルタイムで業務の進捗状況や人員の配置状況を確認できれば、迅速な対応が可能です。
業務の遅れや過剰な負荷を避けることができ、生産性が向上します。
クラウド型のシフト管理システムではPCやスマートフォンからいつでもシフトの状況や従業員の勤務状況をリアルタイムで確認可能です。

5.シフト管理システムでマンアワーを活用するメリット

マンアワー管理はシフト管理システムと組み合わせることで、生産性向上が実現します。
必要MH・投入MH・過不足MHをデータとして自動で収集。
管理作業の負担が一気に軽減される点が大きな利点です。
ここでは、マンアワー管理とシフト管理システムを組み合わせるメリットを整理しました。

(1) 必要MH・投入MHを自動で算出し、正確な判断ができる

シフト管理システムでは、スタッフの勤務時間や業務量が自動的にデータ化。
必要MH・投入MHが正確に算出されます。
手作業で集計する場合に起こりがちな“見落とし”や“計算間違い”がなくなります。
データにもとづいた的確な判断が可能です。
正しいMHをもとに現場の状態を把握することで、過不足の原因をスムーズに分析。
改善策も立てやすくなります。

(2) 過不足MHの発生ポイントをリアルタイムで把握できる

クラウド型システムでは、勤務状況やシフトの埋まり具合をリアルタイムで確認できます。
「どの時間帯で人が不足しているか」「どこが過剰か」が瞬時にわかり、迅速な対応が可能です。
混雑する時間帯には人員を追加、余剰人員が出ていれば別業務へ振り分けるなど、柔軟な運用がしやすくなります。

(3) データに基づいた最適なシフト配置ができる

マンアワー管理の最大の強みは、業務量を“数値”で把握できる点です。
シフト管理システムによって、必要な作業に対して最適な人数を割り当てる仕組みが完成。
感覚頼りのシフト作成から脱却できます。
「この時間帯は3人必要」「この業務は合計10MH必要」といった情報が自動計算が可能です。
配置ミスが減り、現場の動きが安定するでしょう。

(4) 多店舗展開でも同じ基準で比較・改善できる

システム化すると、複数店舗のデータを同じフォーマットで比較できます。
店舗ごとの必要MH・投入MH・過不足MHも一覧で見ることが可能です。
課題のある店舗を把握しやすく、改善のスピードが上がる点が大きなメリットです。
「A店は昼に人が余りがち」「B店は土日に不足」といった傾向がひと目でわかります。
組織全体の運営効率が高まるでしょう。

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