
シフト管理を実践する上でのエクセルのメリットとデメリットを明確にすると同時に、エクセルを効果的に活用する方法もご紹介します。
シフト管理を実践する上で、稼働するシステムをどの様なインフラ環境で動かすかということは極めて重要なテーマですが、近年ではクラウドコンピューティングの進展からクラウドサービスを利用するケースが増えています。 当コラムでは、シフト管理におけるクラウド利用のメリットと運用時の留意点について述べたいと思います。
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我が国におけるクラウドサービスの利用状況を「総務省|令和元年版 情報通信白書|企業におけるクラウド ...」で見ると、調査対象全体の64.7%の企業が「何らかの形でクラウドサービスを利用している」ことが示されています。更に、「今後利用する予定がある」と回答している企業を含めると、実に75.1%にも上ります。
また、2015年の「何らかの形でクラウドサービスを利用している」割合である44.6%と比べると、2019年は64.7%と、145.1%もの伸び率を示しています。この傾向は、今後とも更に進むものと想定されます。
また、クラウドサービスの導入効果を見た場合、「非常に効果があった」が33.6%、「ある程度効果があった」が51.9%、合わせて85.5%の企業が何らかの効果があったと回答しています。この数字はかなり肯定的にクラウドサービスを利用している実態を表していると言えます。
一方、「あまり効果がなかった」が0.2%、「マイナスの効果があった」が0.4%と、効果が見られなかったという回答は、極めて小さな数字になっています。それだけ、クラウドサービスが定着をしてきている証拠だと言えます。
今では、経理システムや給与システム、勤怠システム、シフト管理システムなど、多くのシステムがクラウド型でサービス提供されています。それ以前は、専用のソフトを自社のコンピュータ内にインストールして使用する形式が大半でしたが、その割合は急速に低下してきています。
各システム分野でクラウドの利用が普及してきた主な理由は以下のとおりですが、シフト管理システムでも同じ理由で普及が進んでいると言えます。
これらの理由を見ると、一見して大企業よりも中堅・中小企業にとって、より効果の大きいものである様に思われます。
しかし、近年では、資金や人材に比較的余裕があると思われる大企業でも、クラウド利用の普及は進んでいます。今後は、企業規模に関わらず、多くのシステム分野でクラウドの利用が普及してくるものと想定されます。
クラウド利用には、コンピュータ機器を複数の企業で共同利用する「パブリッククラウド」と、自社専用のコンピュータ機器をクラウド上で使用する「プライベートクラウド」の2つに大きく分けられます。
プライベートクラウドは、更に二分化しており、自社でインフラの構築・運用を行う「オンプレミス型(所有型)」と、資産を持たずにクラウド事業者からインフラをサービスとして提供を受ける「ホステッド型(利用型)」があります。
一般的にクラウドと言うと「パブリッククラウド」を指しますが、大手企業を中心に「プライベートクラウド」もかなり普及しています。特に、セキュリティ面をより厳密に担保したい企業や、自社向けのカスタマイズを必要とする企業には「プライベートクラウド」が選択されています。当然、導入コストや運営コストに違いがありますから、投資対効果をよく見極めてどちらを導入するかを決める必要があると言えます。
データセンターを運営されているIDCFrontier社のホームページで、プライベートクラウドとパブリッククラウドの違いを、簡潔に説明していますのでご紹介します。
この図表から、「プライベートクラウド」より「パブリッククラウド」の方が、導入のし易さやコストパフォーマンス、柔軟性などで優れていることが伺えます。セキュリティ面さえクリアー出来れば、「パブリッククラウド」を選択することが賢明であると言えます。
シフト管理システムもクラウド化の例外ではなく、その大半がクラウドサービスを利用してシステムを提供しています。その理由としては、シフト管理システムの多くが比較的新しく開発されたものであると言うことが挙げられます。他のシステムとは違い、自社導入型のパッケージソフトとして販売されてきた実績が少ない為、逆にクラウド型として普及し易い状況にあったのだと言えます。
実際、シフト管理システムのまとめサイトの1つである「シフト管理システムの価格・特徴を徹底比較 | 2021年完全版」に掲載されている26例すべてがクラウド型でのシステム提供を行っています。このことからも、シフト管理システムがクラウド型でのサービスをメインにしていることが良く理解できると思います。
AWSやIDCなどのクラウド事業者のコンピュータ資源を利用する場合のセキュリティ対策は、基本的には利用者の自己責任になります。実際には、シフト管理システムなどをクラウドサービスとして提供するシステム会社がその責任を負うことになります。
シフト管理システムの場合、従業員の個人情報を多く取り扱いますから、セキュリティ対策には特に注意する必要があります。基本的なセキュリティ対策としては、他のシステムでも同じですが、①FW(ファイアウォール)、②IPS/IDS(不正侵入防止)、③WAF(アプリケーション・ファイアウォール)④ウイルス対策ソフト、などとなりますが、更に、データの暗号化は実施したい対策ではあります。
しかし、データの暗号化に関しては、①レスポンスの低下を招く、②データの取扱が複雑になる、③コスト面で負荷となる、などのデメリットもあります。
そこで、全てのデータを何でも暗号化するのではなく、万一データ漏洩が起きたとしても絶対に解読されたくない項目に絞って、暗号化することも一つの考え方であると思います。
例えば、以下の様な項目に絞って、暗号化対応を行うのも良い方法だと思います。
その他、セキュリティ対策上で考慮すべき点として、ウイルス対策ソフトよる処理効率の低下があります。特に、ウイルス対策ソフトによるリアルタイムスキャンには注意が必要です。すべての処理に対してリアルタイムスキャンを実施すると、場合によっては、大幅な処理効率の低下を招くことがあります。従って、リアルタイムスキャンと定期的な一括スキャンの使い分けを行うことも必要かと思います。
従って、ウイルス対策ソフトの挙動によるパフォーマンス低下を事前に考慮してサーバーの処理能力を選定することも重要なポイントと思います。
システムを稼働させて行くと、時間の経過とともにデータ量は増大していきます。その際、CPU能力の低下やディスク容量の不足、回線負荷の増大、と言ったことが起こり得ます。
クラウドサービスにおけるコンピュータ資源の適正化は、全て、クラウドサービスを契約して利用している会社の責任になります。従って、クラウド事業者のコンピュータ環境を利用する際には、適宜、CPU使用率やディスク使用率、回線負荷率をモニタリングする必要があります。
もしも、コンピュータ資源が不足するような場合には、素早く能力アップを図り、システムの稼働に大きな影響を与えないようにする必要があります。
クラウドサービスが利用されている理由の一つに、「データ量の増大にも柔軟に機器増設が可能である」がありますが、正にこの点がクラウド利用の大きなメリットになります。
今後ともシフト管理システムはクラウド型を中心にサービス提供を拡大させていくものと思われますが、方向性としては、パブリッククラウド型とプライベートクラウド型の2つに分かれていくものと想定しています。
主にセキュリティ面から自社独自サーバーにこだわる企業は、プライベートクラウドを、一方コスト面や運用面にこだわる企業は、パブリッククラウドの導入が選択されるものと思われます。
また、導入パッケージシステムに対してカスタマイズが必要か否かでも分かれてきます。通常、カスタマイズが伴う場合はプライベートクラウドを、カスタマイズが伴わない場合はパブリッククラウドを選択するものと言えます。やはり、カスタマイズが伴う場合は、共同利用が難しくなりますので、プライベートクラウドを選択するのが一般的であると言えます。
この様な状況にありますが、クラウドサービスの進化に合わせて、シフト管理も上手くクラウドサービスの良い点を積極的に取り入れ、利用者への利便性を向上させていきたいものです。
今回は、シフト管理におけるクラウド利用のメリットと留意点について紹介しました。クラウドサービスの利用は年々増加していますし、この傾向は今後益々進展するものと言えます。
オーエムネットワーク社の店舗向けシフト管理システム「アールシフト」では、当初よりクラウド型でお客様にシステムを提供してきました。アールシフトは、これからもクラウドの進化に合わせて機能面の充実を図っていきますので、是非ご期待くださいませ。
項目 | 有無 | 対応内容 |
---|---|---|
クラウドサービスの利用形態 | 〇 | パブリッククラウド |
セキュリティ対策 ※一部オプション |
〇 |
|
データ容量 | 〇 | モニタリングして適宜増強 |
処理能力 | 〇 | モニタリングして適宜増強 |
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