コラム
2025.09.09
小売業の店舗運営マニュアルはどう作る?シフト制の現場の効率化事例も紹介
シフト管理
業種別

小売業の現場では、日々の接客や商品管理、シフト調整など、業務が多岐にわたります。
とくにシフト制を導入している店舗では、勤務時間帯によってスタッフ構成が変わり、業務の引き継ぎや標準化が難しいといった課題もあります。
こうした状況を支える手段として欠かせないのが「店舗運営マニュアル」の整備です。
この記事では、小売業におけるマニュアルの必要性や作成のポイント、さらにシフト管理との関係性や効率化事例までを体系的に紹介します。
現場にマニュアルを根づかせ、生産性を高めたい方はぜひ参考にしてください。
【関連記事】シフト作成の基本・コツ・注意点とは?最低限覚えておきたいポイントも紹介
目次
1.なぜ小売業では店舗マニュアルが重要なのか

小売業においては、限られた人員で効率よく業務を回す必要があります。
スタッフ一人ひとりの対応力や判断力が不可欠です。
スーパーマーケットやドラッグストアのようにシフト制を採用している現場では、勤務時間もスタッフ構成も日々変化しがちです。
小売業でマニュアルが求められる背景には、以下のような現場事情があります。
- シフト制は教える時間が限られている
- スタッフの入れ替わりが激しい
- 小売業は業務の標準化が必要
以下、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
(1)シフト制は教える時間が限られている
小売業の店舗スタッフはシフト制勤務です。各自で就業時間が異なり、メンバーも毎回変わります。
そのため、誰か一人がつきっきりで研修をおこなうことが困難です。
「とにかく現場に出て仕事を覚えてもらおう」という教育方針のお店も多いかと思います。
しかし、この方法ではスタッフの前職までの経験や適性によって仕事を覚えるスピードに大きく差が出ます。
場合によっては「入社後、ほとんど放置されている」とも捉えられかねません。
現場で教えられる時間が限られているからこそ、マニュアルが存在することで、業務の予習復習ができ、業務の基本を身につけることができます。
【関連記事】新人スタッフが育つシフトの組み方は?5つのコツを紹介
(2)スタッフの入れ替わりが激しい
小売業の多くはアルバイトやパートのメンバーで現場を回しています。
進学や引っ越しなどでスタッフが入れ替わることも多いでしょう。
新しいスタッフへの引き継ぎや研修が頻繁に発生します。
ある程度業務の情報をマニュアルとしてまとめておくことで、同じ説明を何度もする手間が省け、現場の他の業務に時間を割くことができます。
(3)小売業は業務の標準化が必要
特に複数店舗を運営している場合、店舗によって仕事のやり方が違ったり、接客時の案内方法が異なるケースがあるのではないでしょうか。
マニュアルの存在は、全スタッフに基準となる方法を示すことを意味します。
つまり各店舗が同水準のサービスを提供できるようになるのです。
また、「この方法よりB店のやり方がいいのでは」「今までのやり方よりマニュアルのやり方がいいかも」など、現場の業務改善にもつながります。
2.小売業のマニュアル作成のポイント

小売業の現場では、スタッフの入れ替わりが激しく、教育にかけられる時間も限られています。
そ業務の質を維持しながらスムーズに店舗運営を行うには、マニュアルの整備が不可欠です。
しかし、ただ業務手順を書き連ねただけでは、実際に活用されるマニュアルにはなりません。
現場で活かされるマニュアル作成のポイントについて、以下の観点から解説します。
- マニュアルの種類
- 5W2Hを明確にする
- マニュアルに従うメリットを記載
- 過去のミスやエラーの情報も共有
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
(1)マニュアルは大きく3種類
一口に「マニュアル」と言っても、接客のためのマニュアルと、バックヤード作業のためのマニュアルとでは目的が違います。
小売業の場合であれば、以下の3つのマニュアルを用意できるのが理想です。
・基本マニュアル
就業規則をはじめ、現場での服装規定、身だしなみ、店舗の公衆衛生などのルールをまとめます。
・接客マニュアル
お客様対応の基本(言葉遣い、表情、おじぎの角度など)、レジ対応の方法、よく聞かれる質問とその回答、クレーム対応の方法などをまとめます。
・業務マニュアル
発注、仕入れ、品出し、売場づくり、販促物作成、値引き、返品、廃棄など、接客以外の業務についてまとめます。
(2)5W2Hを明確にする
業務をマニュアルに落とす際には、誰が読んでも同じ行動をとれるよう細かい情報まで記載する必要があります。
- いつ(曜日や時間帯)
- どこで(店頭なのかバックヤードなのか)
- 誰が(店長やリーダーの業務なのか、誰でも行える業務なのか)
- 何を・どのくらい(商品や数量)
- なぜ(この業務が必要な理由)
など、いわゆる「5W2H」の要素は最低限記載しておきましょう。
(3)マニュアルに従うメリットを記載
マニュアルを用意しても、現場のスタッフが活用してくれなければ生産性の向上は期待できません。
なぜ記載通りにおこなう必要があるのか、その方法で行うとどのようなメリットがあるのか記すことで、スタッフの動機づけになり、職場にしっかりとマニュアルを根づかせることができます。
(4)過去のミスやエラーの情報も共有
マニュアル作成時、「過去に起きたミスやエラー」の情報も掲載することで、より現場に沿った内容にすることができます。
ミスやエラーの内容、原因、対処法や防止法などは新人育成の際にも役立ちます。
単に業務を遂行するだけでなく、先輩スタッフの経験や知見(ミスを起こしたあと、どうやって対処したのか)などを共有しておくことで再発防止になり、より良い店舗運営を目指すことができるのです。
3.小売業の生産性向上はシフト管理がポイント!

小売業の生産性向上で真っ先に取り組むべきなのが、シフト管理の効率化です。
シフト作成・シフト管理業務のムリ・ムダ・ムラを排除し、店長にとってもスタッフにとっても働きやすい環境を整備しましょう。
具体的にやるべき内容は以下の3つです。
- シフトの組み方を工夫し研修を充実させる
- 他店舗からのヘルプを活用
- 予測に基づくシフト作成
それぞれについて、詳しく説明します。
【関連記事】小売業・サービス業の店長業務を効率化!シフト管理システム活用事例6選
(1)シフトの組み方を工夫し研修を充実させる
マニュアルだけではなかなか仕事は覚えられないもの。
新しく入ったスタッフに業務を覚えてもらうために、経験豊富なスタッフと一緒の時間にシフトに入ってもらう、という方法もあります。
現場で実際に先輩スタッフがどう対応しているのかを見て理解することで、仕事のやり方が具体的にイメージできるようになります。
新人以外のスタッフが業務を覚える際も、ベテランスタッフと組む方法が有効です。
発注、棚卸しなど、特定のメンバーしかできなかった業務も、対応できる人数が増えることで現場が回りやすくなります。
(2)他店舗からのヘルプを活用
近隣で複数店舗を運営している場合、他の店舗からヘルプのメンバーに出勤してもらう方法も有効です。
経験豊富なスタッフの活躍の場を増やせる上、新しく人を雇うよりもスムーズに運営を行うことができます。
店舗間での接客の仕方、案内の方法などの微妙な違いもわかります。
現場の業務改善のきっかけづくりにもなるかもしれません。
(3)予測に基づくシフト作成
忙しい日にスタッフが足りなかったり、逆に客数が少ない日にスタッフが多すぎたり、といった経験がある店長さんも多いのではないでしょうか。
特定の曜日や天気予報、繁忙期・閑散期、売上予算などによって、実際の必要人員も変わります。
シフト管理システムを使うことで、これらの要素に対応したシフト作成をおこなうことも可能です。
4.小売業の生産性向上事例3選

小売業・サービス業では、シフト管理を改善したことで生産性向上につながった事例がいくつもあります。
シフト管理システム「R-Shift」を活用した具体的な事例を3つ紹介します。
(1)株式会社ロフト/シフト作成時間50%削減「見える化」推進
株式会社ロフトでは、R-Shiftのシフト自動作成機能を活用しています。
R-Shiftの検証段階で、シフト作成時間が半分以下になることがわかり、3ヵ月間で100以上の店舗へのシステムを展開。
各スタッフのスキルも考慮したシフト表が自動作成でき、本社にいるスタッフも自席のパソコンから各店舗のシフト作成状況を確認可能にしました。
詳しい導入事例についてまとめたインタビューもぜひご覧ください。
(2)株式会社オオゼキ/全店で1500万円以上のコスト削減を達成
関東を中心にスーパーマーケットを展開するオオゼキでは、レジ部門のシフト表を自動作成することで、シフト作成時間を80%短縮。
さらに、人員投入の ムリ・ムラ・ムダを徹底して削減することで、全店で1500万円以上ものコスト削減に成功。
また、MH(マンアワー)管理によって店舗応援の効率化やパート採用の効率化を実現しています。
導入インタビューは以下のページで公開しています。
(3)PPIH(ドン・キホーテ)/仕事の見える化→人時生産性向上!
大手ディスカウントショップ「ドン・キホーテ」、「アピタ」や「ピアゴ」などの総合スーパーを手がけるパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス。
「各店舗でシフト作成方法にばらつきがある」「レジ台数の多さから割当作業が煩雑」などの課題をR-Shiftで解決しました。
特に活用しているのが「レジ情報可視化機能」。
レジの割当実績確認以外にも、勤怠管理システムと連動できるようカスタマイズしたことで、勤務時間数や遅刻早退、貢献度 (無理してシフトを替わってくれた、など)が把握できるようになりました。
詳しいインタビューもぜひご覧ください。
5.シフト管理のマニュアル作成のポイント

シフト作成や調整は、現場の店長や管理者にとって大きな負担です。
不公平感が生じるとスタッフの不満にもつながりかねません。
効率的で納得感のある運用を実現するには、シフト管理のマニュアル整備も欠かせません。
マニュアルを作成する際に押さえておくべきポイントを解説します。
- 業務の全体像を最初に記載する
- ルールと優先順位を明文化する
- トラブル時の対応手順も含める
- 更新と共有のルールを設ける
以下、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
(1) 業務の全体像を最初に記載する
シフト管理マニュアルでは、最初に「誰が」「何のために」シフトを作成・管理するのかという全体像を明示することが重要です。
目的や流れを最初に示すことで、個別の手順を読む前に全体の文脈を把握できます。
例えば「シフト希望を回収してから提出期限内に確定させる」といった一連の流れがイメージできると、担当者の理解も深まります。
全体の流れを冒頭に整理することで、読み手が迷わず行動しやすくなります。
(2) ルールと優先順位を明文化する
マニュアルには、シフト作成時に優先すべきルールや判断基準を明文化しましょう。
「学生は平日18時以降を優先」「リーダー経験者を土日に必ず配置」など、現場特有のルールがある場合は明確に記載しておく必要があります。
ルールを曖昧なまま属人的に判断していると、シフトの公平性が損なわれる原因にもなりかねません。
担当者が変わっても一貫性のある運用ができるよう、ルールは必ず盛り込みましょう。
(3) トラブル時の対応手順も含める
欠勤や遅刻など、想定されるトラブルに対する対応フローを記載しておくことも欠かせません。
急な欠勤時に「誰に連絡するか」「代替スタッフはどう探すか」といった手順を定めておけば、現場の混乱を最小限に抑えられます。
また、連絡を受けた側が一目で行動できるよう、具体的な手順や判断基準を盛り込むことが望ましいです。
トラブルへの備えを明記することで、安心感のあるマニュアルになります。
(4) 更新と共有のルールを設ける
シフト管理マニュアルは、一度作って終わりではなく、定期的に更新されるべきものです。
新しいツールの導入や勤務ルールの変更があれば、その都度反映させる必要があります。
さらに、更新内容は速やかに全スタッフへ共有する仕組みを整えておくことも重要です。
常に最新の状態を保つことで、マニュアルが現場で「使える」存在として根づきます。
生産性向上に効果的なシフト管理システム「アールシフト」

(1)小売業・サービス業の導入店舗数2万店超
アールシフトは、小売業やサービス業のシフト管理に特化したシステムです。
おかげさまで2020年〜2025年と6年連続で「登録ID数1,000以上の小売業」における導入数No.1(※東京商工リサーチ調べ)となりました。
全国展開しているスーパー、生活雑貨店、レンタルビデオ店、衣料品店、ホームセンター、映画館、空港、コールセンターなど幅広い業種の企業様に選ばれています。
導入企業の事例インタビューはこちら
(2)柔軟にカスタマイズ可能
選ばれる理由の一つが、カスタマイズの柔軟性です。
シフト管理においては企業ごとに設けている独自ルールや細かな要望があるかと思います。
アールシフトなら800を超える標準機能から独自にオーダーメイドが可能です。
「店内レジと屋外レジの違いを考慮して割り当てたい(ホームセンター向け)」
「薬剤師と登録販売者を確実にシフトに入れたい(ドラッグストア向け)」
といった業種特有のシフト管理方法も、標準機能で既に搭載されています。
標準機能だけでは対応しきれない個別カスタマイズにももちろん対応。
お客さまの企業特性を理解した上で、設定のチューニングを行ないます。
(3)シフト管理+人時生産性向上を同時に実現
アールシフトではレイバースケジューリング理論(LSP)や統計分析手法、AI手法などを全面採用。
仕事と人をMH(人時)で把握し、ムリ・ムダ・ムラの最も少ない効率的なシフトを実現しました。
誰が使用してもスピーディに高精度なシフト表が作成できるよう、当社独自の最適化手法を備えています。
(4)直感的に操作できる現場志向のシステム
高精度なシステムでありながら、直感的な操作でシフトが自動作成できるよう、インターフェースにも徹底的にこだわりました。
基本操作はマウスだけでOK。
公休と有休の色分け表示や、白黒印刷したときの見やすさなど、現場の方々が求める機能を実装しています。
システム自体の素早いレスポンスも好評です。
アールシフトでは、シフト管理システム導入を検討中の企業様向け体験利用プランや、メイン機能の使い勝手がわかるデモ動画を用意しています。
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