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人手不足に断固たる対応を取るべき時 (香港経済ジャーナル紙)

2019年06月13日

海外ニュース

香港の人手不足のニュースをご紹介します

このところ香港では「逃亡犯条例」の改正に反対する市民の大規模なデモが続いています。この条例が改正されると、犯罪人引き渡し条約を締結していない国(具体的には中国本国)に対しても、香港市内で法を犯した人を送致することができるようになるというのです。一国二制度の枠組の元、香港は中国の特別行政区として大幅な自治が認められていますが、この条例改正により、香港が中国当局の管理下に入ることを反対派は懸念しています。

そのような動乱の渦中で、香港では地下鉄事故の問題も取りざたされています。背景には人手不足の問題があるようです。一体どのような問題が起こっているのでしょうか?

「人手不足に断固たる対応を取るべき時」 (香港経済ジャーナル紙)

『ボアオ・アジア・フォーラムの最新の「アジア競争力2019年度報告」によると、韓国と台湾が1位と2位を占めた。一方、シンガポールと香港は順位を落とし、3位と4位になった。

香港は深刻な労働者不足、人手不足に陥っており、緊急の対応が求められている。対応を行なわなければ、香港の競争力と経済成長の可能性に更なる傷がつくことになるだろう。

MTR(香港の鉄道、港鉄)の営業やプロジェクトで続いた一覧の事故を例に見てみよう。この鉄道事業者は技術力や人員の不足に悩んでおり、それがシステムトラブルや列車の遅れ、ひいては鉄道事故を起こしているのだ。

1970年代の後半にMTRが設立されたとき、MTRは香港政府が全株式を保有する公的機関であり、公共交通の効率的な運営を任されていた。香港政府が経済的な理由から株式の一部を売却し、MTRを上場企業にしたのは2000年のことである。株主からの期待に見合うよう、新たな成長の動力源を探すため、MTRの経営陣は積極的に海外に市場を開拓した。

国内や海外の事業が拡大するのに合わせて、MTRは十分な経験を積んだ鉄道管理の技術者を新たな事業分野に投入した。その結果、あまり経験のない管理者や土木事業者が香港市内の鉄道網を運用することになった。

MTRが何十年にも渡って鉄道を運営してきたことを考えると、MTRには鉄道網の重要な機器の使用法や寿命、そして大規模修繕を計画するための包括的で実績のあるメカニズムがあったに違いない。また、MTRの社内には、営業前の設備チェックを実行するために様々なな部署に指令を出す自動的なアルゴリズムがあったことだろう。

ここでいくつかの疑問が生じる。MTRの従業員は、適切に作業を完了したのだろうか? 検査員は、検査の結果を十分に吟味したのだろうか? 経営陣は鉄道の運営方法やシステムの改修について、最新の技術を理解していただろうか?

これは、訓練や経験、選択などに対処するという純粋な経営の問題だ。しかしながら、再び疑問が生じる。MTRには重要な任務を実行するだけの素質があるのだろうか?

経営陣は、問題が人材不足にあることに気づいているらしく、2016年11月にMTRアカデミーを設立し、トップレベルの鉄道の専門家を養成しようとしている。しかし時すでに遅しである。

沙田至中環線(さでんしちゅうかんせん)の建設プロジェクトで行われているホンハム駅の拡張工事の中間報告書が、政府よって近頃公開された。それによると、ホンハム駅の工事の不備の大本にあるのは、建設作業員の質の低さと管理者のプロ意識の欠如だとしている。

実際のところ、地元の建設業者にとって人手不足は唯一の、そして最大の問題であり、結果的に建設コストを増大させる要因となっている。新しい建設契約が決まったとしても、建設業者には十分な従業員がいないため、作業の質は低下し、プロジェクトのコストの見積もりや管理も不十分なものになる。

近年、主要な社会インフラの品質管理が悪化しているのは、以上のような理由によるものだ。全体的に見て、人手不足の問題は様々なな業界や職種に対して大きな打撃を与えているのである。

人手不足という問題は早急に解決することは難しいから、いま政府にできる対応は外国から労働力や人材を受け入れること、そして香港の競争力を保つためにテクノロジーを最大限に活用することだ。』