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スキル不足の「回復」(英、ガーディアン紙)

2019年01月31日

海外ニュース

イギリスにおけるスキル不足に関するニュースをご紹介します

今回はイギリスのニュースをご紹介します。このところEU離脱の問題でたびたびニュースを賑わせているイギリスですが、数年前からスキル不足に関しても深刻な事態が続いているようです。

イギリスにおけるスキル不足の「回復」

『イギリス政府は、国内企業の求人のうち5件に1件は求められるスキルを持つ求職者が見つからないため、企業は景気回復の恩恵に預かることができないだろう、と警告している。

雇用技能委員会(UKCES)の報告書によると、イングランドにおける求人の22%は、いわゆる「スキル不足による人手不足」によるものである。この「スキル不足による人手不足」は2009年に比べてほぼ倍増した一方で、求人全体の件数は45%増加し、リーマンショック前のレベルにまで回復した。

UKCESの委員であり、エンジニアリングのコンサル会社アトキンスのディレクターでもあるダグラス・マコーミック氏は、企業は人材を確保するための手段を今すぐに確保すべきだと述べている。「求人数が増えているのは景気回復の兆候だが、適切な人材が確保できない企業は景気回復の恩恵に預かることができない可能性がある」。

この報告書の内容を受けて英産業連盟(CBI)は、質の高い見習い制度の必要性に加えて、学校での進路指導の質を抜本的に見直さなければならないとしている。CBIのディレクターであるニール・カーベリー氏は「急速な経済成長の裏返しとして、スキル不足の問題が深刻化している。経済成長を支えるためには、働く人のスキル(科学や技術、工学、そして数学)を向上させ、産業界で必要とされているスキルとのギャップを埋めなければならない」と述べている。

この報告書によると、看護師や人事の専門家などの新たな領域においてもスキル不足の問題が生じ始めているという。これまで長い間問題になっていた料理人や機械工、電気工、機械の保守要員などのスキル不足の問題は、依然解決されていない。

イギリス全体を広く見渡してみると、特に問題が深刻なのはスコットランドだ。2013年の3月から7月にかけて9万人以上の雇用主を調査した結果、求人口の25%において、スキル不足で人材が見つかっていないことが明らかになった。

マコーミック氏は「雇用主から職業的な訓練を受けている労働者の割合は、この10年でほとんど変わっていない」と述べている。「雇用主の中には、非常に単純な仕事をやらせるために、わざわざ高度なスキルを持つ人材を雇って、スキル不足の問題を解決しようとしている傾向も見受けられる」。

英国商業会議所(BCC)はスキルと雇用に関する声明の中で、企業が求めているようなスキルを若者に身に付けさせないと、イギリスの将来の繁栄に水を差すことになると述べた。BCCの会長であるノラ・シニア氏は、21世紀において誰が勝ち、誰が負けるのかを決めるのは働く人のスキルであるとしている。しかし、イギリス中の雇用主は常に「見込みのある人材、特に学校を出たばかりで適切なスキルを持つ若者を採用するのは大変だ」と言い続けている。「世界は急速に変わり続けている。もしイギリスがその変化の追い付けなかったら、スキルのある人材を見つけられない雇用主や、労働力の訓練に投資を惜しむ企業は、国内外のビジネスで敗退するだろう」。

BCCは、政府が学校や大学、企業と連携して、イギリスの労働者が目的に応じたスキルを身に付けられるようにすべきだと述べている。BCCは声明の中で、学生がどれだけエンプロイアビリティ(雇用されうる能力)を身に付ることができたかで学校を評価・格付けするという案や、外国語教育やスキルの輸出に対する税制面での優遇を提案している。