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戸籍制度による中国の人手不足(香港、サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙)

2018年12月28日

海外ニュース

中国の人手不足に関するニュースをご紹介します

今回はお隣、中国のニュースをご紹介します。中国は2010年にGDPで日本を追い抜き、今や世界第二位の経済大国となりました。人口も増大し続けており、14億人に達しようとしています。こうして見ると、経済面では順風満帆で人手不足には縁がなさそうに思えますが、中国でも近年、人手不足が深刻化しています。その背景には中国独自の戸籍制度があるとのことです。一体、戸籍と人手不足にどのような関係があるのでしょうか。

中国は地方からの労働者を定住させることで人手不足を解消できる

『中国社会科学院の副院長、蔡昉(Cai Fang)教授は北京で開かれた議会でサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙に対し、「今後の経済成長のために必要な政策の一つは、経済を刺激することではない。労働者を地方から都会へもっと移住させることだ」と述べた。この中国最高のエコノミストは、政府が国内移住に関する制限を緩和すべきだと述べているのである。教授は次のようにも述べている。「中国のこれまでの経済成長は、農業に従事していた国民を工業やサービス業など、より生産性の高い産業に就労させるという構造調整によるものだ。しかし、人手不足が深刻化していることを考えると、今後は各種の産業部門や企業間で調整を行なうことが経済成長につながる」。

中国の厳格な戸籍制度(戸口、hukou)のもとでは、労働者は国内で自由に引っ越しをしてよいことになっている。しかし、引っ越先では、故郷にいたときほどには社会福祉の恩恵を受けることができない。この制度を改正すれば、効果はすぐに表れるだろうと蔡教授は述べる。「戸籍制度を現代的なものにすれば、都会から地方へ里帰りする労働者が減り、都市に流入する労働者が純増する。そして生産性が改善する」と教授は語る。

労働力の減少は最低賃金の上昇とともに中国における労働コストを押し上げ、その結果、外資系のメーカーは東南アジアに移転したり、フォックスコン社(電子機器の受託生産業者)のように、機械化のための高額な投資を行なったりすることとなった。蔡教授は「戸籍制度という障害をそのままにしておくと、人手不足がさらに悪化し、労働コストが上昇しつづけることは避けられない。人間の労働者がロボットに取って代わられる時代は、想像以上に早く訪れるだろう」と述べる。

この40年に渡り、安価な労働力は中国の経済成功の著しい特徴であり続けた。しかし時代は変わりつつあり、2012年以降、年間の経済成長率は最後の年を除き、下落傾向にある。また、40年間に渡る家族計画規制により、中国の労働力人口(16~59歳)は急激に減少してきている。国家統計局の図によれば、昨年だけでも労働力人口は550万人減少して9億199万人となった。2015年、中国政府は「ふたりっ子政策」を国中に広めたが、思ったような効果は得られなかった。2017年における出生数は前年から63万人減少したのである。

蔡教授は、中国政府は産業の効率という問題にも直面しているという。蔡教授は「中国は投資や金融、企業の構造を改革しなければならない。いろいろな地方や産業にまたがる生産要素の流れを改善するためだ。政府は技術革新を促進し、新規起業を奨励する一方、ゾンビ企業(多くは国営)の解体にはまだ取りかかったばかりだ」と語る。

世界第二位の中国経済が急激に悪化する恐れはない。2050年まで、世界平均である3%以上の成長を維持することが見込まれている。しかし、だからといって、政府が何もしなくてよいということにはならない。蔡教授はそう述べた。「経済を刺激し続けるあまり、リスクを無視してしまうことが危険なのだ」と蔡教授は語る。蔡教授は、中国政府が次の3年間における目標の1つとして経済危機への取り組みを挙げ、2018年における経済成長目標を6.5%とし、前年実績の6.9%から引き下げたことをうれしく思っているという。』

日本の戸籍との違い

世界一の人口を誇る中国で人手不足が起こっていること、その原因の一つが戸籍制度にあることが分かり、とても興味深いニュースだと思います。中国では戸籍によって、格差が生じてしまうのですね。日本の戸籍制度では自由に本籍地を変えることができるのはもちろん、本籍地によって受けられる社会福祉が変わるわけではないので、中国の制度はずいぶんと旧態依然としたものに思われます。制度が改革されるのはいつのことになるのでしょうか。