国内外ニュース WORLD & NATIONAL NEWS

医療従事者の不足にタスクシフティングが果たす役割(ナイジェリア、デイリートラスト紙)

2018年11月30日

海外ニュース

ナイジェリアの医療分野での人手不足に関するニュースをご紹介します

これまで先進国のニュースを続けて紹介してきたので、今回は発展途上国のニュースを取り上げます。アフリカのナイジェリアという国はギニア湾に面し、人口は1億9千万人ほど、輸出のほぼ全てを石油に頼っています。さぞかしオイルマネーで潤っていそうですが、そうではありません。巨大な国際石油資本が油田の開発を続ける一方、政情は極めて不安定で、大多数の国民の生活は苦しいままです。また、医療従事者の不足も深刻で、国民が満足に医療サービスを受けられない状況が続いています。
この人手不足を解決する方法として、「業務移管」が注目されています。途上国の医療における業務移管とは、一体どのようなものなのでしょうか?

医療従事者の不足に業務移管が果たす役割

『ナイジェリアにおいて、国民が医療サービスを受ける妨げとなっているのは、基本的な医療を提供する医療従事者の不足である。医療従事者は都会の医療施設に勤めることを好むため、状況は地方にいくほど深刻だ。

医療従事者が不足している要因として、専門家を養成する施設が不十分であること、経験を積んだ医療従事者が外国に出ていってしまうこと、いくつかの州で医療従事者の雇用が禁じられていること、などが挙げられる。

国内の調査機関が昨年実施した調査によると、現在、医師の約8割が海外に職を探しているという。また、多くの薬剤師や医療の専門家も、卒業と同時にルワンダなどの外国に出ていってしまう。ナイジェリア検眼協会のダミアン医師は、多くの検眼士が大挙してサウジアラビアやイギリスなどに出国してしまうことを嘆いていた。ダミアン医師は「公共病院や地方においても検眼士が不足しており、地方の住民は眼科医療を満足に受けられない」とも語る。

世界保健機関(WHO)は、十分な医療を受けることができない世界中の地域において、人的な医療資源を公平に分配できるよう、タスクシフティング(業務移管)やタスクシェアリングという方法を推奨している。タスクシフティングとは、各種の業務を必要に応じて、高度な資格を必要とする医療従事者から短い訓練期間で取得できる資格を持つスタッフに移管するというものである。その狙いは、現在働いている医療スタッフをより有効に活用することにある。この手法は暫定的なものであり、専門家集団の仕事を奪うことを狙ったものではない。あくまで、現在雇用され医療機関に配置されているスタッフを活用するためのものである。

タスクシフティングは、医療従事者の不足に対処するため、多くの国で実施されている。ナイジェリア連邦政府も2014年、タスクシフティングとタスクシェアリングに関する政策を決定した。この政策により、それまで十分な訓練が受けられなかった医療従事者がトレーニングを受ける余裕ができ、高度で熟練した医療サービスを提供することができるようになった。

ヨハンナ(47歳、男性)はこの一年、自分の住む村の診療所で、医師ではない医療従事者からエイズの治療を受けている。それ以前は診療所に医師はいなかったので、適切なケアを受けることはできなかったという。

タスクシフティングの対象となる業務は、出産や新生児、小児、HIVやエイズ、マラリア、各種の検査などである。専門家は、地方にあるほとんどの病院でタスクシフティングの成功例が報告されており、特に家族計画や乳幼児の健康でそれが顕著だとの述べている。また、草の根から女性の命を救うため、地域の医療従事者に一部の医療行為(分娩、産後の出血を防ぐ薬の処方、家族計画など)を委託している例もある。

一方、タスクシフティング政策には課題も残されている。医療現場で何が行われているかを政府が管理する仕組みがないこと、診療の基準がまだ確定されていないことも問題となっている。また、一部の州において、この政策によって逆に職を失うことの不安から、政策に抵抗する向きもある。』

日本におけるタスクシフティング

ナイジェリアの医療分野での人手不足は医療従事者の海外流出によって引き起こされているのは、とても興味深い点です。いま日本では外国人労働者を受け入れるための議論が続いていますが、将来、医療のような専門性の高い分野でも、海外からの人材が活躍するようになるのかもしれません。