フレックスタイム制とは

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フレックスタイム制とは

フレックスタイム制とは

フレックスタイム制とは、3か月以内の一定期間の総労働時間を定めておき、 労働者の方がその範囲内で各日の始業および終業の時刻を選択して働くという制度で、労働者の方が生活と仕事の調和を図りながら自ら効率的な働き方をすることを可能とするものです。

始業終業時刻を日により自由に選べるということは、日によって労働時間も変化することになりますので、1日8時間1週40時間という固定的な法定労働時間の規制をそのまま適用することはなじみません。

そこで、フレックスタイム制を採用する場合は、3か月以内の一定期間を清算期間として設定し、その期間の総労働時間を定めますが、 その総労働時間の枠内の労働であれば1日または1週間の法定労働時間の総枠を超えていたとしても時間外労働にはならないという扱いが認められています。

ただし、清算期間における総労働時間の設定は、清算期間を平均して週の法定労働時間以内である必要はあります。

コアタイムとフレキシブルタイム

フレックスタイム制を採用する場合、必ず勤務しなければならない時間帯であるコアタイムと、その時間帯であればいつ出勤しても退勤してもよいとするフレキシブルタイムを会社が設定するのが一般的です。

コアタイムの時間帯は労使協定で定めますが、毎日同じ時間帯である必要もなく、また、日によりコアタイムを設けたり設けなかったりすることもできますので、 会議のある毎週月曜日だけコアタイムを設けるということも可能です。また、そもそもコアタイムを設ける必要がなければ設けなくても構いません(コアレスフレックス)。

なお、コアタイムだけではなくフレキシブルタイムも設けないこともできますが(スーパーフレックス)、そうすると24時間フレキシブルタイムとなりますので、自社の雇用管理上望ましいかどうかは検討する必要があります。

フレックスタイム説明

フレックスタイム制の導入手順

①就業規則等に、始業終業時刻を労働者の決定に委ねることを定めること
労働者が10人未満で就業規則がない場合は、任意の社内規定や文書に定めます。

②労使協定で以下のア~オを定めること
ア. 対象となる労働者の範囲
全社員、特定の部門ごと、個人ごと等

イ. 清算期間とその起算日
清算期間とは、フレックスタイム制の単位となる期間で、労働者が労働すべき時間を定める期間のことです。
一般的には賃金の計算期間にあわせて1か月としますが、最長3か月までとすることができます。

ウ. 清算期間における総労働時間
労働者が清算期間に労働すべき時間、つまり清算期間における所定労働時間のことです。

清算期間における総労働時間は、以下の計算式により法定労働時間の総枠内でなければなりません。
清算期間における総労働時間 ≦ 週法定労働時間(※) × 清算期間の暦日数 / 7

※ 特例措置事業場については、清算期間が1か月以内の場合は44時間とすることが可能ですが、清算期間が1か月を超える場合は特例措置事業場においても40時間となります。

例えば、月単位の清算期間とした場合は、以下の法定労働時間の総枠内で清算期間における総労総時間を定めます。
1か月単位2か月単位3か月単位
清算期間の
暦日数
法定労働時間の
総枠
清算期間の
暦日数
法定労働時間の
総枠
清算期間の
暦日数
法定労働時間の
総枠
31日177.1時間62日354.2時間92日525.7時間
30日171.4時間61日348.5時間91日520.0時間
29日165.7時間60日342.8時間90日514.2時間
28日160.0時間59日337.1時間89日508.5時間

また、例えば、1か月160時間というように各清算期間を通じて一律の時間を定める方法や、清算期間における所定労働日を定め、所定労働日1日あたり〇時間と定める方法もあります。

エ. 標準となる1日の労働時間
フレックスタイム制の対象者が有休休暇を取得した場合に支払われる賃金の算定基礎となる労働時間を定めます。これは、清算期間における総労働時間を、その期間の所定労働日数で割った数値となります。

オ. コアタイム、フレキシブルタイムを設ける場合は、その開始と終了の時刻

③労使協定の届出
清算期間が1か月を超える場合は、労使協定届を労働基準監督署に届け出る必要があります。

時間外労働の考え方

フレックスタイム制では、1日や1週間を単位としてではなく、清算期間を単位として時間外労働を判断します。
なお、清算期間を通じて法定労働時間の総枠を超えて労働させる場合は、36協定の締結・届出が必要です。

①清算期間が1か月以内の場合
清算期間における実労働時間のうち、法定労働時間の総枠を超えた時間が時間外労働
時間外労働時間 = 実労働時間 -(週法定労働時間×清算期間の暦日数 / 7)

②清算期間が1か月を超え3か月以内の場合
以下のアとイの時間が時間外労働

ア. 1か月ごとに、週平均50時間を超えた労働時間

フレックスタイム説明

… その賃金計算期間の賃金として、その都度、割増賃金の支払いが必要

イ. 清算期間を通じて、(アでカウントした時間を除いて)法定労働時間の総枠を超えて労働した時間

フレックスタイム説明

… 最終月の賃金として支払う

労働時間の翌月調整について

清算期間における総労働時間を実際の労働時間が超過した場合、その超過した時間分についてその月のお給料で清算せず、翌清算期間における総労働時間に充当するという扱いはできるでしょうか。
これは、その清算期間における労働に対する対価の一部が翌月に繰り越されることになるため、賃金全額払いの原則(労働基準法24条)に反し認めらないとされています。
では、逆に、清算期間の実際の労働時間に不足があった場合、総労働時間分の賃金はその月のお給料として全額支払うけれども、その不足分の時間については翌清算期間における総労働時間に上積みし労働させるという扱いはできるでしょうか。
これは可能とされています。ただし、翌清算期間に繰り越した結果、その月の法定労働時間の総枠を超えることとなる時間については割増賃金の支払いが必要となりますので注意が必要です。
もっとも、このような場合には、翌月に上積みし調整するのではなく、不足した時間分については賃金を控除して支払うとすることがシンプルです。

さいごに

フレックスタイム制は、日々の始業、終業時刻の決定を個々の労働者の方に委ねており、清算期間において総労働時間を目指して働くようにしなければならないところから、労働者の方の自己管理能力が前提とされますが、 会社にはフレックスタイム制の対象者についても労働時間の把握義務があり、時間外労働となる清算期間における総労働時間を超える労働についてきちんと管理していく必要があります。
フレックスタイム制を採用する場合は、適用対象者についての労働時間、残業時間の管理方法やルールについても事前に社内で検討してみてください。

社会保険労務士 ヒロイ事務所
高野 学