1ヶ月単位の変形労働時間制ってなに?

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1ヶ月単位の変形労働時間制ってなに?

1ヶ月単位の変形労働時間制(以下、「1ヶ月変形」)とは

1ヶ月以内の一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲内において、特定の日又は週に法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。法定労働時間については、コラム「労働時間とは?」をご確認ください。

所定労働時間は、法定労働時間の範囲内で設定することになっていますが、1ヶ月変形を適用していない場合に以下の所定労働時間のパターン1~3が法違反とならないか確認してみましょう。

パターン1
合計
所定労働時間休日88879040
週の法定労働時間は超えていないが、1日をみたときに、金曜日が8時間を超える所定労働時間となっている。→×法違反

パターン2
合計
所定労働時間休日77777742
1日の法定労働時間は超えていないが、週40時間を超える所定労働時間となっている。→×法違反(※特例措置対象事業場を除く)

パターン3 月末の繁忙期など
合計
所定労働時間休日99999045
1日の法定労働時間、1週間の法定労働時間の上限を超える所定労働時間となっている。→×法違反

上記1~3の場合、1ヶ月変形を適用していないと法違反となりますが、1ヶ月変形を適用し、1ヶ月以内の期間を平均し、週の所定労働時間が40時間(※特例措置対象事業場は44時間)に収まるのであれば、法違反となりません。
1ヶ月変形を適用することにより、1ヶ月以内の期間で忙しい時期と比較的暇な時期がある場合、業務の閑散に合わせた所定労働時間を設定することができます。
例えば、月末に繁忙期となり、月末以外は比較的業務量が少ない場合、月末の所定労働時間を多く設定し、それ以外の期間を短く設定することができます。
閑散期は早く帰ることができるようになり、1ヶ月変形を適用せず繁忙期に残業させた場合よりも実労働時間が短くなるため、ワークライフバランスの実現にもつながります。また、残業代の支払いも少なくなります。

※週の法定労働時間が44時間となる「特例措置対象事業場」とは?
労働者10人未満の①商業、②映画・演劇業(映画の製作の事業を除く)、③保健衛生業、④接客娯楽業のこと
(注意:1年単位の変形労働時間制は、特例は適用とならず、以下に特例対象事業場に該当する場合であっても1週間の法定労働時間は週40時間までとなります。)

所定労働時間の定め方

1ヶ月以内の一定期間を平均して、1週間あたりの労働時間が週の法定労働時間を超えない範囲で、あらかじめ就業規則等に各日、各週の所定労働時間を使用者が具体的に定めなければなりません。(始業、終業時刻を労働者が決めることができるフレックスタイム制とは異なります。)
1ヶ月以内の変形期間における所定労働時間の合計を、次の式によって計算された法定労働時間の範囲内で設定します。なお、1ヶ月変形は、1年変形と異なり、1日や1週間の労働時間の上限はありません。

1ヶ月の法定労働時間

変形期間が1ヶ月の場合の所定労働時間の総枠

変形期間が1ヶ月の場合の所定労働時間の総枠表

具体例で詳しくみてみましょう。
月末が忙しく、月の前半が比較的暇である場合、その繁閑に合わせて労働日や労働時間を設定し、1週間の平均労働時間を40時間以下とする例

1ヶ月の法定労働時間カレンダー

1ヶ月の所定労働時間の合計は
→7時間×8日+8時間×6日+9時間×8日=176時間 ・・・A

1週間あたりの平均労働時間は
→A÷(31日÷7)≒ 39.74 時間となります。

1ヶ月単位の変形労働時間制を採用するには

1ヶ月変形を採用するためには、労使協定又は就業規則その他これに準ずるものにおいて定めることが必要です。
労使協定による採用の場合でも、常時雇用する労働者が10人以上の事業場は就業規則の変更が必要になります。

【就業規則規定例】
(始業時刻、終業時刻および休憩時間)
第○○条 毎月1日を起算日とする1か月単位の変形労働時間制とし、所定労働時間は、1か月を平均して1週間40時間以内とする。
始業時刻終業時刻終業時刻
1日から24日まで午前9時午後5時正午から午後1時まで
25日から月末まで午前8時午後7時上記に同じ

所定労働時間の定め方

1ヶ月変形の対象者が残業をした場合、時間外労働(法外残業)として1.25倍で支払わなければならないのは以下の時間です。
①1日について
就業規則その他これに準ずるものにより8時間を超える定めをした場合は、その時間を超える部分。それ以外の日は8時間を超える部分
②1週間について
就業規則その他これに準ずるものにより40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超える定めをした場合は、その時間を超える部分。それ以外週は40時間を超える時間(特例措置対象事業場は44時間)
ただし、①で時間外労働となる時間を除きます。
③対象期間(例、1ヶ月、4週間など)について
対象期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間
ただし、①または②で時間外労働となる時間を除きます。

1ヶ月変形も1年変形と同様、
① 1日について
    ↓
② 1週間について(①でカウントしたものを除く)
    ↓
③ 対象期間について(①、②でカウントしたものを除く) 3段階で検証し、1.25倍で支払わなければない時間(法外残業)を特定します。

なお、所定労働時間を超え、法定労働時間までの残業(法内残業)については、通常の1時間あたりの賃金を支払うか、又は1.25倍の賃金を支払うかは、就業規則等で定められた労働条件によります。

さいごに

1年単位の変形労働時間制でも述べましたが、変形労働時間制は労働時間を短縮することを目的として認められるようになりました。従業員にとっては、暇な時期に早く帰ることができ、労働時間の短縮につながり、会社にとっては割増賃金を抑えることができるなどのメリットもあります。
みなさまの会社や従業員にとって最適な働き方を検討する際の情報として、このコラムをご活用頂けると幸いです。

社会保険労務士 ヒロイ事務所
廣井加奈子